557:
条件 2/20:2006/10/08(日) 22:37:46 ID:EUV4xzVj
しかし、ハンサムが生きがいとなると、困った点がひとつある。
美しさは、歳をとるにつれ 低下するのだ。
r―――――――――――――――――――
| ああ、歳をとりたくない。
ー、
| それができるのなら、悪魔と取引して
| 何もかも渡したって後悔しない。
ー――――――――――――y―――――
____
|\\ |
| ∧__∧ ∧_∧
|(∩´Д∩ i|ll )
|( J し )
 ̄ ̄ ̄ ̄ | ○ |
(__)_)558:
条件 3/20:2006/10/08(日) 22:38:51 ID:EUV4xzVj
.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.::.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.::.:.:..:.:.:.::
お前のその願い、手伝ってやろうか。
:.::.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.::.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:
| / /
/|
| ,ヘ ,、
| / 'ー-/ |
| / 丶 ヽ
| l }
| ヽ^ /⌒ヽ /
| ` ! ! ヽ.559:
条件 4/20:2006/10/08(日) 22:39:54 ID:EUV4xzVj
r――――――――─―
| あ、あなたは誰です。
ーy――――――─――
チョ
('Α`) コン
(::::::)
l l
r―^――――――───
∧_∧ | 誰だとは何だ。
(` ; ) | お前の要望に答えて
∩ ∩ ) .| 出現してやったのに。560:
条件 5/20:2006/10/08(日) 22:40:45 ID:EUV4xzVj
r――――――――――――――─
| すると、あなたは悪魔…
| なぜ、こうも簡単に出てきたモナ。
ー――v―――――――――――─
r―――――――――――――――─
| お前は理屈も何もない無茶な願いを
| 真剣になってとなえた。
∧_∧ ー――――y――――――――――─
(; ´Д`))
( ノ ('Α`)
| | | (::::::)
(__)__) l l
r―――――――^――――――――──
| そこが気に入った。
| そういう不合理な人を相手にするのが
| 悪魔は楽しいわけだ。
ー―――――――――――――――──561:
条件 6/20:2006/10/08(日) 22:41:48 ID:EUV4xzVj
r――――――――――――――─
| どうだ、願いかなえてやろうか。
ー――――――――――――y―─
r――――――――――――─‐
| そりゃあ、ぜひ頼みたい。
| しかし、その代償に
| 魂をくれとか言うんじゃあ…
ー――v―――――――――─
r―――――――――――
∧_∧ | そんなことは言わないよ。
(; ´Д`) ー―y―――――――――
( つと ) ('Α`)ノ
〉 〉 〉 ((::::::)
(__)__) l l
r―――――――^―――――――─―
| しかし、条件はつくからな。
| そうしなければ、やってて面白くない。
ー―――――――――――――――─562:
条件 7/20:2006/10/08(日) 22:43:32 ID:EUV4xzVj
r――――――――
| どんな条件モナ。
ーv―――――――
r―――――――――――――――─―――
| そうだな……
| お前の幸運を犠牲にしろ。
| 普通以上の幸運は一切、お前が拒絶する。
ー―――――y――――――――――――─
('Α`)
(ノ::::)
l l
っ r―――――――――――――──
∧_∧ っ | ええと……
( ; ´) < 別にいいモナよ。 今までだって
( つ | 幸運に恵まれたこともないモナ。563:
条件 8/20:2006/10/08(日) 22:44:29 ID:EUV4xzVj
r――――――――――───────────―
| じゃあ、それで決まりな。
ー―、
| お前が幸運をこばんでいる限り、
| 若く、ハンサムな特長の失われることはない。
ー―――――y――――――――――――─―
('Α::.
( .:::..
.::. スウ …
\人/
∧_∧ r――――─――
( ; Д)^) < あ、消えた。
( ノ ー―――――─564:
条件 9/20:2006/10/08(日) 22:46:12 ID:EUV4xzVj
~ 次の日 ~
r――――――――――――
| あ、お札が落ちてるモナ。
| 運がいいモナ。
ー―――――――――y――
∧_∧
(´∀` *)
と と
(⌒)ノ
.:: し'..::::.
___
ノ5000ノ
 ̄ ̄~565:
条件 10/20:2006/10/08(日) 22:47:38 ID:EUV4xzVj
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
若さを保ちたいなら、
, -―─-、 幸運を犠牲にするんだな。
/ ヽ ≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
| ノ .::::.ヽ l
ヽ △ /)
> (っ) | 十
/ヽ ,へ レ の ー-,
/ \-――-/ ヽ ~
l |
/ -― ―- ヽ
| __ U | r―――――――─
ヽ ノ::::::::l ノ | これを拾っては
ゝ  ̄~ < < いけないモナ!
/⌒ヽー――/⌒ヽ \ ー―――――――‐
( ノ:5000::ヽ ) }566:
条件 11/20:2006/10/08(日) 22:48:39 ID:EUV4xzVj
しばらくたったある日。青年のところへ電話があった。
r――――――――――――――――─――
| あなたの出した懸賞のはがきが
| 特賞に当たりました。 おめでとうござます。
ー――y―――――――――――――─――
||
||
||
∧∧ D ≫ C ∧_∧
(,,゚Д゚)○ ____ ≪ ___ ○(´∀`*∩
(, ,ノD~~| 田| || | 田|~~C( ノ
||
||
r――――――――――――^―――─――
| 本当モナか。
| どうせ当たらないだろうと思っていたモナ。
ー―――――――――――――――─――567:
条件 12/20:2006/10/08(日) 22:49:39 ID:EUV4xzVj
r――――――――――――――
| あ、ちょ、ちょっと待ってください。
| いりません。 辞退します。
ー――――――――――――v―
||
||
||
∧∧ D ≫ C ∧_∧
(,,゚Д゚)○ ____ ≪ ___ ○(´Д`; )
(, ,ノD~~| 田| || | 田|~~C( ⊂ )
||
||
r――^―――――――
| そうですか。
| 欲のないかたですな。
ー―――――――――568:
条件 13/20:2006/10/08(日) 22:51:02 ID:EUV4xzVj
欲がないのではない。
ひとつの欲のために、幸運を犠牲にしているわけなのだ。
_____________________
|
|:::::::::::::::: ニ チ ャ ン 遊 園 地 :::::::::::::
_|______________ r―――――――――――――――
| || || || || || || || || || || || || | おめでとうございます。
 ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | あなたは 百万人目の入場者です。
| | 世界一周旅行をさしあげます。
| ーy――――――――――――――
| | |
| | ./⌒ヽ
| ∧∧ | /:::{ }⌒ヽ
∧_∧ (^ー^*) | {:::::ヽ__,ノ }
( ;´Д) OC | | /|_/| ム ヽ__,ノ
と つロ ノノハハゝ (・)ω(・) ) ノム
〉 〉ヽ. し∪ /|。|__|。| 〉ノ ノ
(__)_) (_( (__)ー'~
l___ハ___|
r――^―――――――――――──― .(;;;;;;)(;;;;;;)
| え、ちがいますよ。
| 実はこれ、偽物の入場券なんです。
ー――――――――――――――──569:
条件 14/20:2006/10/08(日) 22:51:58 ID:EUV4xzVj
r――――――――――――――
| あなたは俳優になるべきです。
| たちまち人気が出ますよ。
| どうですか。
ー――y――――――――――─
\
r――――――――――─
彡ノハミ | だめ だめ。
( `∀´) ∧_∧ | そんな自信ありません。
(:つ:V::::つ (Д`; ) ーy―――――――――─
〉::::::〉:::〉 ⊂ ) \
(,,_),,_) / O / \
(__)__) \570:
条件 15/20:2006/10/08(日) 22:53:01 ID:EUV4xzVj
r――――――――――――――─――
| 君はなかなかの好青年だな。
| 気に入った。
| どうだ、私の娘と結婚してくれないか。
ー―――――――――y――――――─
∩_∩
(@∀@-) ___
(::::(S)::::::) | 社長 |
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| |
| |
∧_∧ __________|
( ; ´)
( ) r―――――――――─――
| ○ | < いえ、それが困るのです。
(_X_) | なにとぞ、お許し下さい。
ー―――――――――─―‐571:
条件 16/20:2006/10/08(日) 22:53:55 ID:EUV4xzVj
年月がたってゆく。
青年は依然として、若々しくハンサムだった。
r――――――――――――――――――――─
| ぱっとしない日常で あまりいいこともないけど、
| モナは満足だモナ。
ー――――――――――――y―――――――─
____
|\\ |
| ∧__∧ ∧_∧
|( *´∀( )
|( ( )
 ̄ ̄ ̄ | ○ |
(__)__)
r―――――――^―――――─―
| これからも
| 幸運を拒絶し続けていくモナ。
ー―――――――――――─――572:
条件 17/20:2006/10/08(日) 22:54:46 ID:EUV4xzVj
ある日、訪問者があった。
r─────────────────
| 医学研究所から参りました。
| 科学の発達は、
| すばらしいワクチンを作りあげました。
ー──────────y──────
∧_∧
( ´∀`) ∧_∧
__( )____. (・∀・ )
| | | /|__,( <X> l __
(__)_) // | |【∪】
.// (_,(_,)
//
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄573:
条件 18/20:2006/10/08(日) 22:55:37 ID:EUV4xzVj
若さをいつまでも保つ作用があるものです。
すばらしい効き目。
{二二}
/::::.. \
|`ー--一''´|
|:::::... |
|::::::::::.. |
|:::::::. |
|::::.... |
``'ー--一''´
しかし、当分の間 量産は不可能です。
希望者が多すぎて、扱いに困るほどです。574:
条件 19/20:2006/10/08(日) 23:00:38 ID:EUV4xzVj
r─────────────────
| そこで抽選をしたところ、
| あなたが第一号に選ばれました。
ー―────────y─────―─
∧_∧
(´Д` ) ロ ∧_∧
__( )____ ∩(・∀・ )
| | | /|__\ <X> ヽ ___
(__)_) // 〈 〈\ 【∪】
.// (_,,) (_,)
//
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/ r────^───────────―
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | 今の若さが、ずっと保てるのですよ。
| ご幸運、おめでとうございます。
ー──────────────――575:
条件 20/20:2006/10/08(日) 23:02:19 ID:EUV4xzVj
r────────────
| いえ、間に合ってます……
ー──y─────────
∧_∧
(´Д` ) ロ ∧_∧
_( )_____ ∩(・∀・ )
Y 人 /|__\ <X> ヽ __
(_,) J ))) // 〈 〈\ 【∪】
.// (_,,) (_,)
//
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄576:
( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/08(日) 23:05:51 ID:EUV4xzVj
「ごたごた気流」より
「条 件」 原作:星新一
でした。【引用元】 ☆名作ショートショートをAA化しよう☆第二十五幕ごたごた気流 (角川文庫)
- 関連記事
-